少数民族

ベトナムには9割近くを占めるキン族と53の少数民族が暮らしています。代表的なものは北部ではターイ、タイ、フモン族。中部高原地帯ではザライ、エデ、バナ族。メコンデルタではクメール族。都市部ではホア(華)族などです。

私はハノイ在住なので、時々山岳地方に遊びに行った時などはターイ族やフモン族を良く見かけます。ホアビン、ソンラー、ライチャウ省を貫く国道6号線などは、まさに少数民族街道です。

この道をハノイから50kmも走ると付近の景色ががらりと変わり、石灰岩の岩山がにょきにょきと姿をあらわし、空気も美味しくなります。ここから以降は、ほんの50年前までは少数民族しか住んでいなかったそうです。

最もキン族寄りに暮らしているのがムオン族。水稲を作り高床式の住居に住みます。山の裾野に住んでいるので、土地に高低差があり、川の水流も速いので、灌漑に水車や堰を使います。峻険な山奥の急斜面に住むフモン、ザオ族以外(サパのフモンは稲作をする)は大体このパターンです。

高低差の少ないデルタ地域に住むキン族は、今でも「タットヌオック」を行っています。これは水を汲み上げる、と言う意味で日本でも知られている方法では、二人一組で両側に長い操り紐をつけた籠を使い田んぼに水を汲み上げる、あれです。この他にも一人用のもの等、いくつか種類があります。端から見ている分にはのどかなベトナムの農村風景ですが、やってるものにとっては大変な重労働です。

話しを少数民族に戻すと、ムオンの地域を過ぎると次に白ターイ族が暮らしています。このあたりに住む白ターイ族の言葉はライチャウ省の黒ターイ語よりもラオス語に近いそうです。そこを更に過ぎると黒ターイ、ラオ、フモン、ザオ族。更に奥地まで行けばハーニ、コン、ラフ、プラ、シラ族‥が暮らしています。

ベトナムのこういう姿を見るとき、私はつい二千年前の日本の姿とダブらせてしまう。キン族が大陸から稲作を持ってきたと言われる弥生人。少数民族が日本列島各地にそれぞれの文化を持ち暮らしていたが、最後には大和政権に飲み込まれてしまった原日本人達。九州の隼人や東北の蝦夷等‥。

現在のベトナム政権は、それぞれの民族文化を尊重し、同化政策は取らないとしているが、果たして今後どうなっていくんだろう。日本の中央政権が二千年来とってきた同化政策は、結果的に日本を日本民族と言う一民族に捏ね上げてしまった。結果オーライの様な気もする。

ベトナムも千年後、二千年後にはキン族も少数民族もなく一つのベトナム民族となっているのかな。例えばそうなったとして、それは果たして良い事なのかな。