ベトナム語

ベトナム語と言われても、ほとんどの人にはどんな言語か想像もつかないと思います。私自身、ベトナムに来ようと決めて、教則本を買ったり、ベトナム語教室に通ったりするまでは、ベトナム人が何語で話しをしているのかも知りませんでした。

ベトナム語は日本人が学ぶとき「読み書き」と「会話」を比べると、圧倒的に「会話」で苦労します。文字はアルファベットを使うので、タイ語や韓国語のように改めて覚える必要はないし、言葉の半分以上が中国からの外来語で、漢字に置き換える事ができ、音と漢字の関係を覚えると、始めて見る単語でも意味を予想できる事が多いです。

問題は会話です。ベトナム語には六つの声調(音が上がったり、下がったり、下が上がったり、喉の奥で飲み込んだり、ため息風に変化したり)があり、これは日本人にとって大変厄介な代物です。それに加えて母音が11個以上(いまだにハッキリ知りません)あります。

単純計算でいくと17(子音)×11(母音)×6(声調)=1122音あると言う事になります(実際に全部使う訳ではありませんが)。これを知った時点で、私はベトナム語を極めようとか上手になろうと言う考えはきっぱり捨て「日常会話さえ出来きる様になれば」と考えるようにしました。

ベトナム人は普段の会話ではもちろん、新聞記事においてすら文法に関しては実にいいかげんなのに、会話中の音に関しては恐ろしく不寛容です。「外国人が話してるんだから少しくらい間違っても察してくれよ」と思うのですが、これが通用しません。正しい音を発しない限り、決して聞き取ってはくれません。

1年以上ハノイに住み日常会話も不自由無いのに「タクシーの運転手に自宅の住所を告げても聞き取ってもらえない」と嘆いている人がいました。会話の場合、まだ前後の関連で察してもらう事が出来ても、地名などはそれが出来ないので、何年いても苦労させられます。カタカナで覚えた地名は、まったく役に立ちません。

ベトナム人は日常的にあれだけ多くの音を聞き分けて、言葉を上げたり下げたりしながら話しをしているので、さぞかし歌も上手かろうと思っていたんですが、これがそろいもそろって音痴ばっかりで「いったい、どないなっとんねん」と言う感じです。