お札

ベトナムでは、お札をだけ使い硬貨はありません。百、二百、五百、千、二千、五千、一万、二万、五万、十万ドン札とあり、五千ドン札が新旧二種類あるので全部で十一種類あります。

このお札の多くが、どれも恐ろしく汚く、またぼろぼろです。何千何万という人の手を経る間にぼろぼろに擦り切れてきたという感じです。それらのお札は、破れたところをセロテープや糊、紙で補修して更に使います。

このお札の補修というのが、私の仕事の一つで、カフェは日銭商売なので毎日いろんなお札が入ってくるのですが、その中のぼろぼろに擦り切れたものや破れて二つに千切れそうなものをセロテープで補修します。

これをやらないと、次にそんなお札で買い物をしようとしても相手が受け取ってくれないのです。ぼろすぎて補修の仕様の無いものは、沢山払うときに紛れ込まします。まるで、毎日お札でばば抜きをしている様なものです。

その他に、血で汚れたお札も結構あります。これはもちろん人間の血ではありません。市場でやり取りするときに、肉をばらしたその手で、そのままお札を握るので血まみれになるのです。慣れないうちは結構気持ち悪いです。

知人が市場で肉を買ったときに、お釣のお札を買った肉にぺたりと貼り付けられた事があったそうです。万事こんな案配です。

もう一つ日本と違うのが、やたらと偽札が多い事です。最初の頃は、偽札が回ってくると珍しいので取って置いたのですが、これが気を付けて見てみると、あるはあるは。それも、相当の人の手を経てきたという感じのものが。

ここまで使い込まれれば、贋物も本物も、たいした差はないだろうという感じで、立派にお札の役目を果たしています。こういう偽札をつかまされたらどうするかというと、これもぼろぼろのお札と同じで、まとまって払うときに紛れ込まします。

この偽札ですが、ハノイでは一万ドン、二万ドン、五万ドンと言った高額紙幣(と言っても日本円で80〜400円位です)が多いのですが、中国国境あたりの田舎にいくと五千ドン札の偽札が出回っています。十万ドン札は今年出たばかりで、いまだに偽札はおろか本物もめったに出回っていません。

世の中には、電車の吊革も素手でつかめない人がいるそうですが、そういう人がベトナムに来たらどうなるのか、と思ったりするのですが、考えてみたらベトナムは、そういう人が海外に行くときには、最初から選択肢には入ってませんね。