ハノイではコマーシャルだけが入ったビデオを売っています。「そんな物をいったい誰が買うの」と思うのですが、これがそこそこの売れ筋商品で、どこでも簡単に手に入ります。
誰が見るのかと言うと、幼児をあやすのに使うそうです。日本では、わざわざそんなビデオを買わなくても、民放テレビがのべつまくなしコマーシャルを流していますが、ベトナムでは番組の前後と、朝晩の決まった時間にまとめて流します。
「ドラマが途中で中断されないのは良いな」と言うと「これが資本主義と社会主義の違いさ」と言われてしまいました。「そうかな〜??」と思いながら、とりあえず納得しときました。
朝のコマーシャルタイムは、幼い子を持つ母親が、子供に食事をさすのに良く使うそうです。めまぐるしく変わる画面が面白くて、その時だけは子供が、おとなしくテレビの前に座っているので。
実際、そのビデオを買って帰って見てみると、私が見ても、つまらないVTV(ベトナムテレビ)の番組よりは、こちらの方がよっぽど面白かったです。一部のコマーシャルに関しては世界標準ですし。
それから、めったにテレビを見ない私でも何とかして欲しいと思うのが、外国ドラマ(劇場映画やビデオも含めて)の吹き替えです。ご存知の人も多いと思いますが、ベトナムの吹き替えは一人の人間がします。
元の音声を消さずに小さくして、一言登場人物がしゃべってから吹き替えの声がかぶさって話し出します。日本で言うなら、衛星生中継の同時通訳の様なものです。これをドラマでやるのだからたまりません。
かつて「おしん」を放送したときに完全吹き替えだったそうですが、その後はまた逆戻りです。最近気がついたのですが、予算的な問題もあるのでしょうが、それ以前に、彼等は完全吹き替えの必要性をまったく感じていないようです。
ベトナム人の知り合いで「風と共に去りぬ」のファンがいて、ビデオが欲しいと言うので「そんなものサイゴンに行けば簡単に手に入る。今度行ったときに買ってこようか」と言うと「字幕はだめ。ハノイ弁の吹き替えが欲しい」と言うので「あの一人の吹き替え」と聞くと「そう」と言う。
「あんな物で感動できるの」と聞くと「あれじゃなきゃだめ」「その他だと面白さが半減する」と言われて、人間慣れと言うのは恐ろしいもんだなと思った。 |