ハノイの歌謡界にも「三人娘」がいる。と言っても私が勝手にそう呼んでいるだけであるが。三十前後なので娘と言うには少しとうが立っているが、三人とも押しも押されもしない実力派である。
一人目はタインラム。'69年生まれ。子供のときから舞台に立ち「歌謡界の女王」と言った貫禄。彼女に関して語るなら、まず声がでかい。おそらくピカ一である。次に目が凄い。あんな目で睨まれると赤鬼でもすくみ上って青くなるに違いない。そして個性的。歌い方も衣装も。誰にも止められない。
顔は良く見るときれいなのだが、それよりも他の印象が強すぎて、そこまで目が行かない。友達と良く「彼女は歌手になるよりも新興宗教の教祖になった方がよほど向いてるんじゃないか」と話したりしている。卑弥呼って言うのはこんなんだったんだろうなとも思ったりする。
二人目はホンニュン。'70年生まれ。やはり子供時代から舞台に立ち、初めてのメジャーヒットは15、6歳の時に歌った「パパ」。二十歳の時にサイゴンに移り実質的にはサイゴンの歌手なのだが、ハノイ弁をしゃべり、ハノイ人にとって理想のハノイ女性でもあるのでハノイの歌手と言う事にします。
彼女について語るとき、誰でもまず言うのが「頭がいい」。小中高と常に副級長をつとめるような優等生タイプ。ハノイの歌を歌わしたら右に出るものなし。ベトナム一の作曲家チン・コン・ソンにも可愛がられるが、いろいろな作家の歌を歌いたいと言う彼女の意向により、現在は少し距離を置く。最後に、私の知り合いの間で彼女についてよく言うのが「あの服なんとかならんの。スターなんやから専属のスタイリストでも付けたら良いのに」
三人目はミイリン。'75年生まれ。上記の二人より少し年下。'97年に人気のピークを迎える。'98年12月発売のアルバム「トック
ガン」はベトナムボップスの最高傑作。ハノイっ子が彼女を評する最も端的の言葉は「コン
ディエン」。日本語になおすと「イカれた子」と言ったところか。
派手さやめだちたがりを嫌うハノイにおいて、舞台上にシクロに乗ってあらわれ観客をあきれさせた事もある。また、長い黒髪を貴ぶベトナムにおいて初めてショートカットにし、その後、それがトレードマークに。
自らのプロデュースにも積極的で、ベトナム人歌手として初めて個人のファンクラブも作る。その反面、反発を買う事も多く、去年は新聞で問題発言を叩かれたりもした。新作アルバム「トック
ガン 2」では失敗。現在はビデオ制作中。今春、発売予定。
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