ハノイの夏は雨の季節でもある。夏の雨は冬の霧雨と違い、「どかっ」とやって来る。いわゆる「バケツをひっくり返したような」と形容する雨である。
この雨には雷がつきもので実に盛大に落としてくれる。一般に雷は「ゴロゴロ、ピカッ」などと表現するが、ハノイの雷は「ギガガガッ、ゴッゴーン」とでも表現したらいいのか、日本ではあまり聞けない音を出す。
ハノイ上空というのは雷が発生しやすい場所なのか、たまにバイクで郊外に出かけて帰りに雨に見舞われた時など、いつもハノイ上空あたりで雷がひっきりなしに光っている。
そして、もうひとつ夏の雨につきものなのが浸水である。どか雨が降り出してから30分もたつと街のあちこちが水浸しになり、道路はあっという間に川となる。
私の店の前の道も水浸しになる道のひとつで、この夏すでに三度川になった。と言ってもせいぜい水かさ20〜30cm位までで、また雨がやむとあっという間に水が引くのでたいした事はない。
場所によっては水深が1m以上にもなるところもある。私の知人が住む下宿の近くの小さな湖の湖岸道などは夏の間ほとんど水浸しで、大雨のときなど明らかに1mは超えている。
この湖岸道などは、渇水期の冬に本来湖底であるべきところに盛り土をしないまま、湖岸整備をやり道を作ってしまったとしか思えない。
先日の大雨のとき、店の前から外の様子を見ていると雨の中をバイクで走っている人達にベトナム人気質を見てとても面白かった。
私の店の前はさっきも書いたとおり水深が浅くバイクでも何とか走れるのだが、店の左手10m行ったところにある交差点の先から水深が一気に深くなり70〜80cm位になる。
この水深の深いところに向かってバイクが次々に突っ込んでいっては、みんな玉砕していく。交差点のあたりにはエンストしたバイクが常に何台か止まっていて行くのは無理だと諭しても、自分だけは大丈夫だと思うのかそれを振り切って突っ込んで行ってはエンストを起こしている。
20台近くのバイクが玉砕したあとで、最後はお客さんを乗せタクシーまでが突っ込んで行った。そのタクシーの前に突入した車があきらめてバックで引き返してきたにもかかわらず、その引き返してきた車を右にかわして突っ込んで行き、あっという間にボンネットあたりまで水がきて、最後はぷかぷかと浮いていた。
そんな様子を知り合いと見ながら「ほんま、こいつら引くことを知らんな。こんなんと戦争したら、そらアメリカも勝てんわな」などとアホな事を言い合っていた。 |