日本は四方を海に囲まれていて陸路の国境と言うものがありません。一般人が外国に行く場合、昔なら船、今なら飛行機と言うことになります。着いた先は国際空港か大きな港町いわば表玄関です。ベトナムに来るまではそれがあたりまえだと思っていましたし、そのことについてどうこう考えたことはありませんでした。しかし、家にもお客さま用の表玄関とご近所や関係者用の勝手口があるように国にも表玄関と勝手口があるんですね。
私の義妹は中国人と結婚して今も中国に住んでいます。だいたい年に一度くらい里帰りをします。義母は何年か前に孫の面倒を見るために半年ほど中国の娘の家で過ごしました。しかし、この二人パスポートを持っていません。
それでどうやって国境を超えるのか。あんまり不思議なので嫁に「あの二人どうやって国境を越えてるの」と聞くと嫁の方は逆に私がなんでそんなことを不思議がるのかと言う顔をし「係官に身分証明書を提示し五万ドン(約四百円)を渡すだけ」と教えてくれました。嫁も妹の家を訪ねたがっていますがもちろんパスポートを取る気などありません。
先日、テトにラオスに遊びに行った知り合いが教えてくれたのですが首都ビエンチャンで物売りしている少年は多くがベトナムのゲアン省からの出稼ぎだそうです。もちろん彼らも誰一人パスポートを持っていません。
150km離れたタインホア省からはたくさんの少年達がハノイに物売りや靴磨きにやって来ているのですが300km以上離れたゲアン省だとハノイよりもビエンチャンの方が行きやすいみたいです。距離的には二つともさして変わらないのですが人や物の行き来がラオスとの間の方が盛んなのでしょうね。
5年前に何人かの友人と中国国境の町ランソンに行ったことがあります。そのとき観光気分で町外れの小さな国境ゲートを見に行くと国境警備員が我々を認めたとたん犬でも追払うようにして我々を追い返しました。思えばあれが勝手口の国境だったんだなと思います。こんなことは知っている人にはあたりまえの事なんでしょうけど私は最近になって気が付いたので書いてみました。 |